シリカゲルとは

シリカゲルはケイ素を酸素中で加熱してできるケイ素酸化物(SiO2)純度99.5%以上の化学的に極めて安定的な多孔質物質です。pHは、中性に近く (5.0〜7.5),水溶性、潮解性、発熱性、毒素は全くありません。このため、水分を吸着しても溶けたり、べとついたりしませんので乾燥剤、湿度調整剤 として最適です。安全無害な乾燥剤としてJISに適合する唯一の商品です。(沸酸を除く酸および弱アルカリにも侵されません。)

シリカゲルの吸着
シリカゲルが水分などを吸着するメカニズムには二通りあります。
1. 化学吸着 湿度が極めて低い状態においては、多孔質の表面に吸着します。
2. 物理吸着 湿度が高い状態においては、多孔質の穴の中に毛細管現象(例えば吸取紙が水を吸うように)によって吸着します。

シリカゲルの種類
シリカゲルにはいくつかの種類があります。

・A型シリカゲル

このタイプのシリカゲルは、その基本となるシリカコロイド粒子が密に分散、配列し小さく無数に形成します。又、その孔の表面にはSi-OHで示されるシラノール基が存在していることから、水・アルコール等の極性物質を強力にその表面に取り込みます。この様な多孔性を示す指標として表面積(BET)が用いられます。Aタイプシリカゲルは700〜800u/gでコントロールされています。このタイプのシリカゲルは化学結合による吸着現象を示します。

非常に微細で多孔質な毛細管構造になっていますので吸い込む力も強く、低い湿度に対しても強い水分吸着力があります。一般的に、精密電子部品の輸送梱包、クッキー、お菓子など食品の保存に使用されております。
また、カラムクロマトグラフィーの担体としても利用され、この場合はケイ酸末端が Si=O ではなく Si(OH)2 となっています。

 

・B型シリカゲル

A型に比べ毛細管の孔が大きいので高湿度では大きな吸着能力を発揮します。 また低湿度では、吸着した水分を放出する性質を持ち、環境により吸脱着を自然に行います。

このタイプのシリカゲルは、その基本となるシリカコロイド粒子が粗粒になって分散、配列しています。したがって孔はAタイプのものより大きくなっています。その内部表面にはSi-OHで示されるシラノール基は存在します。しかし孔の大きさより、その表面積は500〜600u/gに調整されています。したがって水などの吸着は物理的結合の要素が大きく、その吸着の容量はAタイプよりも大きくなっています。

 

・インジケータ用青ゲル

シリカゲルの色は透明で、その色は水分の吸着によって変化しませんので、水分の吸着具合が外観からわかるようにA型シリカゲルを塩化コバルトなどの溶液で着色したものがあります。
吸水前は青色で、吸水して含水量が増すとピンク色に変化します。

 

シリカゲルの用途

 
 

<A-タイプシリカゲル>
シリカゲル Aタイプは無色、透明、無臭及び人体に無害の強力乾燥剤です。湿気を害とする食品、及び医薬品には最適です。シリカゲルのpH及び比抵抗等の不純物を示す指標がその適正を示しています。金属は湿気によって錆が発生します。Aタイプシリカゲルは湿度分を強力に除去し、重要な機械、器具の損傷を防ぎます。その他、物質との化学反応の発生のないことにより種々の用途に使用されます。
Aタイプシリカゲルは各粒度別に調整されます。ドライフラワー用シリカゲルに、このAタイプシリカゲルが使用されています。Aタイプシリカゲルは極性物質を選択的に吸着します。これによりパラフィン系物質中の芳香族物質吸着による除去を可能にします。即ち、クロマト用シリカゲルとしても有効です。

<B-タイプシリカゲル>
このタイプのシリカゲルは乾燥剤としては結露防止に使用します。高湿の時には多量の湿分を吸着します。又、周囲の低湿の環境では、一旦吸着した湿分を放出します。輸出用、梱包乾燥用、ピアノ用乾燥剤に使用されています。

 
 

シリカゲルの品質

 
 

性能の各試験項目はJIS規格の試験方法を適用しています。試験の頻度は1Lot毎に実施されます。
(Lotの大きさ:1日の生産量)

  製品種類 Aタイプ Bタイプ
測定項目   (Q or G) (Q or G)
  関係湿度20% 10.0以上 3.0〜6.0
吸湿度 (%) 関係湿度50% 25.0以上 10.0〜13.0
  関係湿度90% 35.0以上 65.0〜80.0
含水率 (%) 2.0以下 2.0以下
pH 5.0 6.5〜8.0
比抵抗 (Ω・cm) 8000〜25000 10000〜30000
表面積 (m2/g) 750 500
細孔容積 (ml/g) 0.38〜0.42 0.65〜0.80
平均細孔直径 (Å)  22 65〜70